BRAINTECHコラム

イーロン・マスク氏のNeuralinkが脳埋め込みデバイスを発表しました

皆さんはイーロン・マスク氏という人物をご存じですか?

日本でも有名なので、聞いたことがあるという方も多いかもしれませんね。

【イーロン・マスク氏とは】

アメリカの実業家、エンジニアです。

主な実績としては、ロケット・宇宙船の開発・打ち上げなど宇宙関連事業を進める「スペースX」を起業し、
アメリカ合衆国のシリコンバレーを拠点におく電気自動車会社「テスラ」の共同設立者となり、PayPalの前身X.comの共同設立者でもあります。

最近では2016年7月にニューロテクノロジー企業「Neuralink」を設立しました。
日本との関わりでは、2011年7月31日には、東日本大震災の被災地である福島県相馬市に太陽光発電システムを寄贈したことで話題となりました。

そんなイーロン・マスク氏がNeuralinkの最新情報として、2020年8月29日(日本時間)に脳とAIを繋ぐ埋め込みチップ「LINK VO.9」(以下「LINK」)と自動手術ロボ「V2」のプロトタイプを発表しました。
マスク氏曰く「LINKは臨床実験できる段階にある」とのことで、FDAの承認を目指しています。

マスク氏が目指すBMI

・BMIとは
ブレインマシンインターフェース(Brain Machine Interface:BMI)の略称です。
一言で表すと、脳と情報通信機器をつなぐ技術です。脳波を検出したり、直接脳に電極を埋め込んで脳活動を計測したり、あるいは逆に脳へ刺激を与えたりといった手法により、脳とコンピューターを「つなげる」機器やプログラムのことを指します。
BCI(Brain Computer Interface)と呼ばれることもあります。

・BMIを使ってゲームをすることが可能に!?
このBMIが話題になった事例として、2019年10月に米ピッツバーグ在住の半身不随の患者が、
脳にインプラントした電極を通じて脳信号をコンピューターに送ることで「Final Fantasy XIV」をプレイする様子がYoutubeで公開されました。


BCI Can Do Better ”Final Fantasy XIV Played with Brain Implants”.Youtube

このように、手も口も動かさず頭で考えただけで機械が動くため、新しいインターフェースとして注目されています。

【今回の発表について】

Neuralinkが大々的にBMIデバイスを発表しました。
脳とコンピュータを繋ぐ技術なんて、漫画やSFの世界じゃないか!と思う方もいるかもしれません。
しかし、この分野の研究はものすごいスピードで進んでいて、決して非現実的ではないのです。
今回はLINKの発表についてフォーカスをあてていこうと思います。

LINKのチップは、手術用に頭蓋骨に開けられた穴に蓋をするように収めて、患者の体温・血圧・運動状況などを監視し、脳卒中や心臓発作などの早期警告を提供するとのことです。
データ通信もワイヤレスに対応しており、頭からのケーブルを機会に繋いでおくといったこともする必要はありません。バッテリーが内蔵されており、寝ている間などにワイヤレス充電が可能とのことです。

マスク氏は以前からヒトの臨床試験についても触れていましたが、今回の発表デモでBMI装備を埋め込まれていたのはヒトではなく豚でした。
豚の頭蓋骨はヒトと似通っているものがあるため、今回豚が対象となったそうです。
LINKを埋め込んだ豚から計った神経信号・脳の動きが、リアルタイムで表示されていました。

マスク氏はこのデバイスが一般に普及されるときは、初期こそかなりの高額になるがいずれ数千ドル程度には収まると語っており、「レーシック手術のように部分麻酔で気軽に日帰りの手術を受けられることを目指す」とも語っています。そのために、自動手術ロボ「V2」も一緒に発表されました。

詳しくはNeuralink公式Youtubeにて公開されています。


Neuralink ”Neuralink Progress Update, Summer 2020”.Youtube

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