BRAINTECHコラム

DTx関連事業を推進するメディアシークが「DTx カオスマップ2022」を公開

モバイルアプリなどのソフトウェアを通じて、疾病治療を実現する技術はデジタルセラピューティクス(DTx)と呼ばれています。日本でも医師からアプリを処方され、スマホを使って病気を治療できる体制が築かれつつあります。インサイダーインテリジェンスの調査レポート(※1)によれば、DTx市場は2025年までに7兆円を超える規模に達すると見込まれており、社会の変化も相まって今最も注目される市場の1つとなっています。
※1 https://www.insiderintelligence.com/insights/digital-therapeutics-report/

DTx関連事業を推進している株式会社メディアシークが、「DTx カオスマップ2022」を作成しました。

DTx関連市場を対象疾病ごとに分類しました。「循環器系疾患(心臓血管)」、「がん」、「脳卒中」、「感染症(呼吸器)」、「認知症」、「整形外科疾患」、「精神・行動障害」、「内分泌・代謝系疾患(糖尿病)」、「その他」の9カテゴリーに分け、およそ50の企業を掲載しています。

■DTxとは

DTxの定義は厳密にはまだ1つに定まっていません。
本カオスマップでは以下の①、②の条件を満たすものをDTxと定義し、まとめました。
①医薬申請を想定しているソフトウェアを主体としたプログラム
②疾病の予防、診断・治療などの医療行為を実施又は支援するデジタル技術
「AIによる疾患診断」に関しては、より広義のデジタル医療に含まれますが、技術動向、医療体制への影響力などを加味してマップに加えました。

■カオスマップ作成の背景

DTxが盛り上がる背景には医療適正化への期待が挙げられます。デジタル技術により医療サービスが最適化され、治療効果向上や医療費削減、人手不足解消に繋がることが見込まれています。また、新型コロナウイルス感染予防の観点からも場所を問わないデジタル医療のニーズが増加しています。
今回、DTx関連事業を意欲的に展開している国内企業を押さえつつ、日本でサービス展開を予定している海外企業も含め、日本国内市場におけるDTxカオスマップを作成しました。

■カテゴリーについて

・循環器系疾患(心臓血管)

手術後患者向けの遠隔リハビリシステムが開発されています。心臓リハビリは再発リスクの低下など優れた効果が認められている一方で、施設不足により普及が十分でありません。この課題に対してITを駆使して、自宅で心臓リハビリ(運動療法)ができるサービスが検討されています。

・がん

がんは早期発見で治療期間、治療負担を大きく軽減できる病気です。CT、MRIなどの医用画像を解析し、診断を補助するAIプログラムの開発が盛んに進められています。一方、運動療法アプリや薬物治療の副作用を管理する治療補助アプリなどのDTx製品群も着々と開発が進められています。

・脳卒中

発症後に麻痺が残る患者向けのリハビリ手法が注目されています。手を開こうとする生体信号をセンサーが読みとるとロボットの手が動くといった、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)と呼ばれる技術を活用して神経回路の再構成を促します。脳MRI画像を用いたAI診断技術も活発で、こちらは病気の早期発見に貢献します。

・感染症(呼吸器)

2022年12月現在においても全世界で猛威を振るい続けている新型コロナウイルス(COVID-19)、同時流行が心配されるインフルエンザウイルスそれぞれに対して診断を補助するAI医療機器が登場しています。喘息治療においてはアプリとセンサー付き吸入器を活用して服薬状況を管理し、服薬リマインドを実施する取り組みがなされています。

・認知症

2025年には65歳以上の5人に1人が認知症高齢者になると予測されています。社会的コスト抑制のためにも早期の発見・予防が重要となっていきます。注目される取り組みとしては、音や映像を用いて患者の認知活性化を目指すデジタル機器や脳波を使った認知症スクリーニングサービス、会話データを活用したAI疾患リスク評価などが挙げられます。

・整形外科疾患

腰痛治療に対する動きが特に活発です。腰痛は日本人の国民病であり、経済損失は3兆円にも上ると試算されています。近年不安などの心理的要因も症状に影響することが判明し、治療方法も変容してきています。DTxではアプリを活用して、従来別々に行われてきた運動療法、認知行動療法などを総合的に組み合わせた治療が実現できます。加えて医療従事者の負担軽減、医療機会の損失軽減にも繋がると期待されています。

・精神・行動障害

物事の捉え方が症状改善に大きく影響する病気に対して日常と治療をシームレスに連結できるDTxは非常に有望です。特に自宅で治療可能な点は患者側に大きなメリットとなりそうです。認知行動療法アプリ、認知行動療法VRコンテンツ、ゲーム形式の治療アプリケーションなどデジタルの強みを活かした興味深いDTx製品が登場しています。

・内分泌・代謝系疾患(糖尿病)

生活習慣と社会環境の変化に伴い、2型糖尿病の罹患が疑われる人数は国内だけでも1000万人を超えると見積もられています。日常の中でのDTxによる個別指導は、生活習慣の改善に親和性が高いとされます。米国では既に2型糖尿病向けデジタル治療プログラムが医薬品として認められており、日本でも食事療法や血糖管理方法を指導するアプリが検討されています。

・その他

上記のカテゴリーに含まれない疾病を対象に関連事業を推進している企業を掲載しています。生活習慣病や飲酒・喫煙などの依存症、睡眠領域のサービスは今後の発展が特に期待されます。その他にもデジタルの強みを活かし、アンメットメディカルニーズ(満たされていない医療ニーズ)に応えるサービスが今後も増えていくことが予想されます。

※マップ記載のロゴ・名称の表記につきましては、各社様に事前許諾を得たものを掲載させていただいています。使用上問題がある場合は、恐れ入りますが「 braintech@mediaseek.co.jp 」までご連絡ください。
※このカオスマップはDTxに関する取り組みを実施している企業のプレスリリースや製品サイト、導入実績などの公開情報を基にメディアシークが独自の視点で取りまとめたもので、網羅性や正確性を完全に担保するものではありません。

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