ハーバード大学「Center on the Developing Child」は、子供の健全な発育を支援する科学技術革新のために様々な活動を行っている機関。科学の進歩が、すべての子どもたちにとって有望な未来の達成に使用されることを目指している。同センターは脳科学についての技術研究も盛んに行っており、カナダの「Alberta Family Wellness Initiative」(AFWI)が開発・運営している「Brain Story Certification」というプログラムの共同研究パートナーでもある。
これは子供を対象にした技術の開発者や教育者などが、子供の脳の発達をよりよく理解するためのプログラムであり、子供が成長してアディクション(中毒症)や精神疾患になりにくい脳をつくることにも大きく関連しているとして社会的な機関や団体で働く人たちにも受講を推奨している。
「Brain Story Certification」プログラムはオンラインで無料公開されている。30時間の講義を終了すると認定書が発行される。脳の発達とその生涯にわたる健康への影響をより深く理解することを目的としており、「経験」が脳に与える影響や、人間関係が脳に与える影響を学んでいく。愛情や世話を受けると子供の脳がどう反応するのか、アルコールや薬の中毒になる過程にはどんなメカニズムが存在するのか、ストレスとその耐久力には脳がどのように関係しているのか等、昨今の技術が脳に与える影響は何かなど広範囲に及んで学べる。
基本的な脳のメカニズムを理解し、子供にとって最適な脳発達の環境や社会環境整備などを構築するには、どうすればよいかを検証していく内容となっている。長年の研究に基づく臨床ケースに裏付けられたプログラムで、プログラム受講の対象者が「科学者ではないが、子供の脳の開発に関係する仕事をしている人」ということなどが特徴のひとつである。