世界には信じられないほど巨大なQRコードというものが存在します。ギネスに載りたい、自社商品の宣伝をしたい、町おこしにつなげたい、何かでっかいことやりたい…作成する動機は様々かと思いますが、見る側としては、“へえ、こんなのあるんだ、すごいなあ”と一息つけるのが最大の魅力だったり。
世界と日本の巨大QRコードをいろいろ集めてみましたので、気楽にご覧ください。まずは世界の各地から。
カナダ西部に位置するアルバータ州。州都エドモントンと州最大の都市・カルガリーとのほぼ中間に位置するのがラクームです。そのラクームの農家・Kraay一家が超巨大なQRコードを作って話題になりました。AP通信が公開している動画があるので、そちらを見ると一目瞭然でしょう。
トウモロコシ畑を切り取って作られたQRコード、その一辺は約170メートル。面積にして約28,760平方メートルです。当然、全貌を見るためにはヘリに乗るなどして上空から眺めなければなりません!
QRコードに埋め込まれているのはKraay家の農場のWebサイトのURLでした。本当にこのQRコードは読み取れるものなのか? QRコードとして正しく機能するのか? 農場主夫妻は何度も上空を飛んではスマートフォンでスキャンし、テストしました。その甲斐あって、ギネス世界記録に認定されました。
このようなトウモロコシ畑迷路は「コーンメイズ」(corn maze)と呼ばれます。コーンメイズは1993年にアメリカ・ペンシルベニア州で始まりました。今では北米やイギリスなどで、収穫の季節である晩夏~秋の風物詩として人気です。ちなみに、イギリスではcornという単語が穀物全般を指すので、トウモロコシを指す単語maizeを用いて「maize maze」と呼ぶこともあるんだとか。
Kraay家の2012年のコーンメイズは、単なる迷路ではなくQRコードをテーマにして作られた、というわけですね。しかも、上空から実際に読めるQRコードを。
通常のQRコードは黒のマスと白のマスとで構成されますが、Kraay家のQRコードでは、地面の土が黒のマスに当たり、トウモロコシが白のマスの役目を果たしました。土が十分に黒く見えるよう、耕す必要もあったとのこと。
ちなみに、下の動画でKraay家の歴代のコーンメイズをおさらいできます。2000年~2022年の傑作群をどうぞ。
ところで、なぜ彼らはコーンメイズを作るのでしょう? 実は、彼らの畑の大きさは約60,703平方メートル。数字だけ見ると大きい! と思ってしまいますが、トウモロコシはそんなには高く売れないため、この大きさではそれほど儲からないのだそうです。それより、約20,000人を見込む入場料売上・アトラクション売上収入のほうがいい、ということのようです。しっかり計算してるんですね~。
(参考)Alberta Farmer EXPRESS
https://www.albertafarmexpress.ca/news/alberta-family-sets-world-record-with-corn-maze-thats-also-a-qr-code/
北東中国に位置する河北省。その旧省都である保定市の清苑区 北店郷 西林水村に、超巨大QRコードが現れたのは2017年のこと。カイヅカイブキの木、約13万本で作られたこのQRコードは、一辺なんと227メートル。面積にして51,529平方メートル。もちろん上空からでないと認識できません。
QRコードを読み取ると、WeChat(微信)アプリの西林水村公式観光ページに誘導される仕掛けでした。つまり、村による一大観光キャンペーンだったわけですね。実際にこの超巨大QRコードをどれだけの人々が読み取ったかは判りませんが、これだけ大きいものを作ったということそれ自体がニュースバリューとなったようです。
(引用: https://predge.jp/99995/ より)
巨大QRコードは地面に作るだけが専売特許ではありません。空中に映すことだってできるのです。
A scannable QR code advertisement created by drones above the skies of Shanghai.
Beautiful. pic.twitter.com/s3T4Fb9314
— Pathfinder (@Pathfinder) 2021年4月17日
上海では2021年に、夜空にQRコードが浮かび上がるという幻想的な光景が現出しました。
どうやって実現したと思いますか? 実はこれ、ライトを取り付けた1,500機のドローンを空中で静止させることでQRコードを形作っているんです。
何かに投影・映写などしなくてもこんなことが可能なんですね。驚きです。
このドローンによる光のショーの模様は以下の動画でも観ることができます。
QRコードが浮かんでいるシーンは2分11秒あたりですが、動画全体でも2分31秒しかなく、サクッと観れますのでオススメです。
(参考)GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20210419-drones-create-qr-codes-china/
毎年10月10日は「目の愛護デー」だって、知ってましたか?
2021年の目の愛護デーに、目薬で有名な製薬会社・ロート製薬が読売新聞朝刊 / 日本経済新聞朝刊に打った新聞広告が巨大QRコードでした。
(引用: https://jp.rohto.com/learn-more/eyecare/eyecareday2021/ より)
単純な大きさでいうと、一辺が数百メートルもあるような、ここまで紹介してきたQRコードより全然小さいですが、新聞紙という、数センチ四方のQRコードが実際によく印刷されている媒体だからこそ、そこにいきなり、紙面の大部分を占めるサイズのQRコードが出てきたら、実寸以上に“大きい!”と感じるものではないでしょうか?
そのような巨大QRコードをなぜ広告に使ったか、の狙いですが、
『スマートフォンで巨大QRコードを読み取るには一定距離離れる必要がある』ことを通じて、『目の健康のためには、新聞も同じくらい離れて読むようにしたほうがいい』ということを思い起こしてほしい、なぜなら『今日は「目の愛護デー」だから』
というメッセージを込めたのだそうです。ハッとさせられる広告ではないでしょうか。
(参考)AdverTimes.
https://www.advertimes.com/20211012/article364999/
ここまで挙げてきた例を見ても明らかなように、巨大QRコードには、注目を集める集客効果があるのは間違いないようです。ネガティブな反応もなく、見た人の驚き・好感を引き出せるというのも、炎上マーケティングの逆効果が目立つ昨今では、手法として貴重ですね。広告 / 広報としてQRコードを使ったマーケティング企画をお考えの方は、当社でも原則無償でご相談に応じますのでお気軽にどうぞ。具体的プランがなくてもウェルカムです。
本稿で挙げたような超巨大QRコードをぜひ作りたい! …という方はあまり多くはないかと思いますが、そうしたQRコードを作る際ならではの注意点をご紹介して本稿の締めくくりとさせていただきます。
まず、最後に挙げたロート製薬のQRコードは、『スマートフォンで巨大QRコードを読み取るには一定距離離れる必要がある』ということを前提に企画が設計されていました。そう、どうしたって、離れた場所から読み取ることが大前提になるのです。離れた場所から読み取るとなると、どうしてもピントは合いにくくなります。そのため、読み取りに失敗することが多くなります。
これを避けるためには、そもそものQRコードをシンプルな内容に留めておくことが重要になります。
QRコードの、現在標準的とされている「モデル2」は、セル(QRコードを構成する白と黒のマス、その一つ一つのこと)が縦横21×21のものが最小で、これを「バージョン1」と呼びます。最も大きい「バージョン40」は縦横177×177セルです。
この「バージョン」が大きければ大きいほど、QRコードに格納できるデータの容量も大きくなります。たくさんの文字や数字を格納しようと思うと、「バージョン」が大きくなり、セルの数が増えます。セルが増えるということは、それだけQRコードの模様が複雑になり、離れた場所からの読み取りがどうしても失敗しやすくなるのです。
巨大QRコードを作る場合は、たくさんの文字列を含めてやろう! などと欲張らないほうが上手くいきます。
また、これはQRコードを作る際というよりはQRコードを設置する際の注意事項になりますが、極端な角度からはQRコードは読み取れないものなので、正面から読み取れるような位置にQRコードを設置する必要があります。
例えば1番目に挙げたKraay家の農場、あれは、QRコードを真正面から捉えられるほど高い上空に上っているから読み取れるのです。仮に、そんなに高くまでは飛べないので、低い位置からQRコードを斜めに(奥行き方向に)見渡すような形で収めて読み取ろう、としても読み取れません。すごく高い位置に、地面と垂直のQRコードを設置した、というケースも、下から見上げるようなアングルでは読み取れません。
紙に印刷するのとはやはりわけが違いますが、どこかしらで超巨大QRコードに遭遇してみたいものですね。
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※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。
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