バーコードコラム

バーコードの読み取りやすさは何によって決まるのか

2022.08.31

バーコードの読み取りやすさとは

 

バーコードが上手く読み取れない! これ不良品だ! と言いたくなる瞬間、もしかしたららあるかもしれませんね。しかし、ここで一つ確認してみたいのです。あなたが“これ不良品だ”と言いそうになった「これ」って、それ何ですか?

 

唐突な質問に目をパチクリさせているでしょうか。ではもっと具体的な問いにしてみます。あなたが指した「これ」とは、以下のどちらのことなのでしょうか?
・バーコードを読み取る側であるバーコードリーダーのこと
・印刷されたバーコードのこと

 

ここまでいえば分かっていただけたかと思いますが、「バーコードの読み取りやすさ」と一概にいっても、バーコードリーダーの性能の良し悪しの話である場合もあるし、バーコードが必要十分なクオリティで印刷されているかどうかという品質の話であることもあるのです。読む側も読まれる側も、両方まともなものでなければならないのですね。幸いにして「バーコードリーダーの読取性能」も「バーコードの印刷品質」もJIS規格化されています。本節ではそれぞれについて解説します。

 

バーコードの印刷品質

<目視確認によるラフチェック>

印刷品質は人間による目視でも十分判る、と思われるかもしれませんが、バーコードリーダーにとって読み取りやすいものであるかどうかは別です。目視確認の際のチェックポイントとしては以下が挙げられますが、あくまでラフチェックと捉えてください。

・印刷ムラはないか
・バーとスペースが均一に印刷されているか
・バーにかすれはないか
・欠けや滲みはないか
・左右マージンは十分にあるか

 

<バーコード印刷品質のグレード>

「バーコードシンボル印刷品質の評価仕様」はJIS X 0520 / 0526で規格化されています(0520が1次元コード、0526が2次元コード)。ここでは、バーコードの印刷品質が5段階に分けられています。

 

グレードA

最高品質です。バーコードリーダーが1回しか走査できない場合、このグレードを指定するのが望ましいです。

 

グレードB

走査線が1本の場合、再走査が必要になることもあります。

 

グレードC

再走査の回数が多くなります。走査線を複数もっているバーコードリーダーを使うのが望ましいです。

 

グレードD

バーコードリーダーによっては読み取れない場合があります。

 

グレードF

読み取りに失敗する可能性が高いです。

品質が高い順にAから始まって、一番品質が低いのがFです。グレード「E」はありませんので注意してください。

 

<印刷品質グレードを調べるには>

上記のグレードを調べるには、「検証器」を用いてテストすることが必要です。検証器および各テスト内容についてはかなり難解なのでここでは割愛しますが、テスト項目についてザッと目を通してください。1次元コードの場合のテスト項目(パラメータと呼びます)は下記のとおりです。

・シンボルコントラスト
・モジュレーション
・デコード容易度
・欠陥
・デコード
・最小反射率
・最小エッジコントラスト

 

1回のスキャンでこれら各パラメータを測定し、それぞれの測定結果を0, 1, 2, 3, 4, 5の6段階の等級に分けます。そしてその中で最低だったものをその回のグレードとします。これを10回繰り返し、10回分のグレードの平均値を取ったら、以下のように等級分けしてください。

 

3.5 ≦ グレードの平均値 ≦ 4.0 → 総合グレードA
2.5 ≦ グレードの平均値 < 3.5 → 総合グレードB
1.5 ≦ グレードの平均値 < 2.5 → 総合グレードC
0.5 ≦ グレードの平均値 < 1.5 → 総合グレードD
グレードの平均値 < 0.5 → 総合グレードF

 

最低グレードのFは欠陥(Fail)の頭文字とされ、通常使ってはいけないバーコードです。前段で“グレード「E」はありません”と説明しましたが、なぜ? と思われた方もいたかと思いますがこういう理由なのですね。

 

2次元コードのテスト項目はまた別となります。2次元コードには「スタック型」「マトリックス型」があって、どちらかによってテスト項目内容が異なります。ここでは、QRコードを含む「マトリックス型」のテスト項目を列挙しておきます。

・デコード
・シンボルコントラスト
・モジュレーション
・固定パターン障害
・軸非均一性
・グリッド非均一性
・未使用誤り訂正

 

これら7種のパラメータを測定・等級分けし、その中で最低だったものをその回のグレードとします。複数のグレードの平均値を取って総合グレードとする…という流れは1次元コードと同じです。

 

バーコードリーダーの読取性能

<リーダーの性能を測る基準>

「バーコードリーダーの性能評価仕様」はJIS X 0527で規格化されており、「テストチャート」を使って性能評価を行うことになっています。テストチャートは光学技術を用いて極めて高精密に作られたいわば<基準器>で、1次元コード用と2次元コード用があります。

 

<バーコードリーダー読取性能のグレード>

下記のテスト項目を連続100回スキャンして、その結果を基に各項目をランク分けします(下表のとおり、ランク分けしない項目もあります)。1文字でも誤読が起きたらその時点でそのバーコードリーダーはグレード「F」(最低)です。

 

また、バーコード印刷品質における総合グレード(10回分のグレードの平均値を取って…というようなもの)はリーダー読取性能評価には存在しません。各テスト項目それぞれのランク分け(S, I, II, III)を出して、それで性能評価は終了です。

 

 

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