このバーコード↑のことを本コラムではずっと「JANコード」と呼んできました。いえ、それが噓だった、誤りだった、などというわけではありません。安心してください。ただ、「JANコード」には別の呼び名がある、ということをお伝えしたいのです。
それが「GTIN-13」。日本では「JANコード」と呼ばれている商品識別コードの国際的な別名です。
「GTIN-13」の「GTIN」とは何か。そして「GTIN」を標準化している「GS1」とは何のことで、またどんな組織か。
謎でいっぱいの「GS1」「GTIN」、そして「JANコード」との関係について、本稿で解説していきます。
「GS1」とは、商品識別番号およびバーコード / RFIDの国際的ルールを定める国際機関の名称です。
以前は「EAN協会」~「国際EAN協会」という名前で、1970年代後半に生まれたヨーロッパの商品識別コード「EANコード」の普及促進活動を行っていました。一方アメリカとカナダでは先行して1970年代前半には「U.P.C.」という商品識別コードが生まれていました。2002年、「U.P.C.」の管理団体「UCC」「ECCC」は「国際EAN協会」に加盟し、これを以って「国際EAN協会」が世界の流通標準化機関となりました。そして2005年には「国際EAN協会」が「GS1」に改称した、というのが流れです。「GS1」は何かの頭文字をとった略称などではなく、それ自体が正式名称です。
日本は「EAN協会」設立翌年の1978年には早くも加盟しており、後の国際機関化に一定の貢献を果たしました(「国際EAN協会」改組は1991年)。日本の管理団体は一般財団法人流通システム開発センターといい、「GS1 Japan」と呼ばれています。
「GS1」標準の商品識別コードが「GTIN」です。「ジーティン」と読みます。Global Trade Item Numberの頭文字をとった略語なので、日本語では「国際取引商品コード」と訳されます。
GTINは、桁数ごとに種類が分かれ(最大14桁)、13桁のものは「GTIN-13」と呼ばれます。
「GTIN-13」の先頭2桁は国コードで、日本は「45」もしくは「49」が割り振られています。この「45」「49」から始まる「GTIN-13」のことを「JANコード」と呼ぶのです。
国際的には「GTIN-13」であるものが、日本でだけは「JANコード」と呼ばれている――などというと、ははーんそれは何かにつけガラパゴス流でやりがちな日本の悪癖だな? 日本はとかくグローバルスタンダードを無視しがちなんだよな!…と思ってしまう人もいるかもしれませんが、それは正しくありません。
前節で説明したとおり、「U.P.C.」は1970年代前半に、「EAN」は1970年代後半に生まれています。そして「JAN」も「EAN」と互換性を確保する形で1978年に誕生しています。それらを「GTIN」という概念に統一したのが2005年です。
ですから「JANコード」という呼び名は、<勝手につけられた方言>などではないのです。
ちなみに「U.P.C.」は12桁なので、別名「GTIN-12」です。また「EAN」は、「JAN」とコード体系がまったく同じなので桁数も同じ。よって、別名「GTIN-13」となります。
なお「JAN」には標準13桁タイプと短縮8桁タイプとがありますが、後者の別名は…もうお分かりですね、そう「GTIN-8」です。
「GTIN」には14桁の「GTIN-14」もあります。「集合包装用商品コード」という名前の商品識別コードで、これも国際標準です。
例えば、2リットルのペットボトル清涼飲料水が6本セットになって段ボールケースに入って売られているとします。この時、ペットボトル単品一本一本にはJANコードがそれぞれ印刷されていますが、それと別に、外箱の段ボールケースにはITFコードが印刷されていますが、これが「GTIN-14」=「集合包装用商品コード」です。
インジケータ(1桁) + 内包される商品単品のJAN先頭12桁と同じ(12桁) + チェックデジット(1桁) = 14桁
インジケータは荷姿や入り数違いを識別するものです。またチェックデジットは、単品のJANコード末尾のチェックデジットとは別物で、13桁を元に計算し直す必要があります。再計算が面倒くさいからといって単品JANコード末尾のチェックデジットをコピーすると、エラーが出ますよ。
そしてこの「集合包装用商品コード」をバーコードシンボル化する際には、ITFコードを使います。
ITFコードの例
ITFシンボルは印刷の要求精度が比較的緩やかなのは、段ボール向きなためです。
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