消費増税に伴う軽減税率の導入で、キャッシュレス決済が俄然注目を集めるようになっています。キャッシュレス決済には、クレジットカード、電子マネー、QRコードなど、決済方法がいろいろあります。今回は、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。
キャッシュレスとは、支払いを現金ではなく、クレジットカードや電子マネー、口座振替で支払う決済方法のことです。公共料金などの銀行引き落としもキャッシュレス決済ですから、キャッシュレスそのものは、かなり前から身近な決済手段として活用されているものです。
キャッシュレス決済の消費者側のメリットは、現金を持ち歩かなくても買い物ができることです。また、支払う場合も、いちいち財布から小銭や紙幣を出す手間が省けます。クレジットカードならサイン、電子マネーやQRコード決済ならカードやスマートフォンをかざすだけで支払いが完了します。
デメリットは、登録情報の漏洩や不正使用されるリスク、つまりセキュリティへの信頼性が確立されていないことです。また、キャッシュレス決済の種類によって、使える店と使えない店があることなどです。
一方、キャッシュレスを導入するお店側にとっては、レジでの精算の手間が簡素になるため人手不足対策になります。また、両替で金融機関へ足を運ぶ回数も大幅に減ります。釣銭の間違いやレジを閉める際の計算も楽になるでしょう。
キャッシュレスで一番馴染みが深く、昔から利用されているのがクレジットカードです。支払いはカード会社への後払いで、分割で払うこともでき、支払い金額に応じてカード会社のポイントが貯まるなど、さまざまな特典を受けることができます。
国際ブランドのカードなら、世界中で使用することもできますし、ゴールドカードやプラチナカードといったステータスの高いカードなら、空港のラウンジを無料で利用できるなど、特別感のあるサービスを受けることもできます。
もっとも、クレジットカードは利用者の信用度に基づいて発行されるため、事前の審査が必要ですから、誰もがステータスの高いカードを所有できるわけではありません。また、支払いの際に、暗証番号や本人のサインが必要なことが多く、その点は、カードをかざすだけで支払いが完了する電子マネーやQRコードより、利便性では劣るといえるでしょう。
大手流通会社や交通、IT企業などが発行している電子マネーは、お金をチャージして使う「プリペイドタイプ」と使った分だけが請求される「ポストペイタイプ」の2種類があります。
プリペイドタイプには、WAONや楽天Edy、Suicaなどがあり、ポストペイタイプは、docomoのiDなどがあります。プリペイドタイプのメリットは、特定の店舗で利用するとポイントの還元率が高くなることです。
ポストペイタイプには、後日請求となる後払い型と、即時引き落としのデビット型があり、後払い型は、クレジットカードに近い決済方法です。ただし、クレジットカードと違って、暗証番号の入力やサインの必要はなく、かざすだけで決済が完了するという手軽さがメリットです。
ここ1、2年で急激に増えているのがQRコード決済やバーコード決済です。日本では、2016年に「Origami」がQRコード決済サービスを開始し、その後はLINE Pay、楽天ペイ、PayPayなどの大手が次々に参入しています。QRコード・バーコード決済は、サービスを提供する店舗の情報や利用者の支払い情報がコードに紐付けられ、決済アプリやクレジットカードから利用額が引き落とされる仕組みです。
QRコード決済・バーコード決済のメリットは、なんといっても高いポイント還元率です。新規参入企業は、億単位のキャッシュバック・キャンペーンを展開するなど、来るべきキャッシュレス社会での主導権を握るべく、ユーザー獲得合戦は過熱する一方となっています。
デメリットとしては、アプリによってそれぞれの機能に差があるため、できることとできないことがあり、その差が分かりにくいことです。
また、お店側のメリットは、コード決済先進国の中国など外国人観光客のインバウンド需要を取り込めるため、今後は欠かせない決済手段になるということが挙げられます。
政府主導によるキャッシュレス化推進もあり、ますますキャッシュレス化が拡大していくことになるでしょう。矢野経済研究所が行った調査では「国内キャッシュレス決済(現金以外の支払い手段での決済総額)市場は、2023年度に約126兆円まで拡大する」と予測しています。
事業者側も消費者同様に、このキャッシュレス化の波を上手に活用していくことが、これから求められてくるのではないでしょうか。