MEG(えむいーじー)

Magnetoencephalographyの略で、日本語では「脳磁図」と訳されている。SQUIDを用いて脳活動を計測するイメージング技術。

脳波と同様に、計測された磁場が脳のどの部位由来のものかを推定するという問題(電流源推定)があるが、現在は脳外科手術の際に病変の位置を決定する際などに使われている。

PET(ぴーいーてぃー)

positron emission tomographyの略で、日本語ではポジトロン断層法と訳されている。陽電子検出を使用したCTの技術で、身体の様々な部位の機能を観察することができる。

近年は主に癌の早期診断に利用されているが、脳を観察すると血流と代謝から活動が活発になっている部位を特定でき、アルツハイマー病の診断にも使われる。

信号源推定(しんごうげんすいてい)

脳波を計測した際に、その脳波が脳のどの部位から由来したものかを推定しようとすること。頭皮脳波は、間にある頭蓋骨が脳波を大きく減衰することもあり信号源推定は非常に難しいと言われているが、fMRIを組み合わせるなど様々な研究が進められている。

BRAIN AWARENESS WEEK(ぶれいん あうぇあねす うぃーく)

脳研究にまつわる技術や研究を一般に広め、意識を高めるための世界的規模のキャンペーン。毎年3月に世界各地で研究発表や交流イベントなどを行い、子供向けイベントも多い。略称はBAW。

1996年にアメリカで160の大学や政府や専門の支援団体が集まって、あらゆる年齢のより良い生活のために脳科学の知見を結集したのが始まり。以降23年間にわたって120以上の国の政府機関・大学・病院から図書館・シニアセンター・企業まで5,600を超えるパートナーが参加している。

ニューロマーケティング(にゅーろまーけてぃんぐ)

商品やブランドを見た時の人の脳の活動を観察することによって、それらに対する消費者の反応を調査すること。従来のマーケティング手法であるアンケートなどでは無意識下の心理を読み取るのが難しいことから生まれた。脳の活動と人の好みなどを結びつける研究は難しく課題も多い。

ニューロン(にゅーろん)

脳の神経細胞。人間の大脳皮質にはおよそ140億個のニューロンがあるといわれており、これらが網の目のようにネットワークを構成することで情報の処理と伝達が行われる。

主に海外でブレインマシンインターフェースのためにニューロンに直接アクセスしてしまうという研究も行われている。

Default Mode Network(でふぉるともーどねっとわーく)

意識的に何らかの活動をしている時よりもむしろ何もしない安静状態において、活動が活発になる脳領域が複数あり互いに同期している。それらで構成される回路のこと。DMNと略されることも。

DMNが脳の全エネルギー消費の半分以上を占めるとも言われており、ADHDや自閉症や認知症との関連があると目されて注目を浴びている。

DBS(でぃーびーえす)

deep brain stimulationの略で、日本語では「脳深部刺激」と訳されている。電極を脳内の深部に挿入し電気刺激を与えることで神経活動を制御することができる。脳神経刺激の一種。

主にパーキンソン病に対する治療でDBSが活用され、25年以上の歴史がある。日本では2000年に保険適用となった。脳深部の過剰に活動している神経核に電気で刺激を与えて細胞活動を抑制させるという仕組み。

TMS(てぃーえむえす)

transcranial magnetic stimulationの略で、日本語では「経頭蓋磁気刺激」と訳されている。頭皮に電磁石を当て、磁場の変化によって微弱な誘導電流を発生させる。脳神経刺激の一種。

tDCS同様に鬱病や脳卒中からの回復などの研究で利用されている。繰り返しTMSを行うことをRepetitiveをつけてrTMSと呼び、長期的に脳に変化を与える治療法とされている。

tDCS(てぃーでぃーしーえす)

transcranial direct current stimulationの略で、日本語では「経頭蓋直流電気刺激」と訳されている。頭皮の上に電極を置いて微弱な直流電気を流す。脳神経刺激の一種。

鬱病や脳卒中からの回復などの研究で利用されている。頭皮に電極パッド等から微弱な電流を流すだけのため、最も手軽な脳神経刺激としてブレインテック製品で採用されることが多い。

ブレインマシンインタフェース、ブレインコンピュータインターフェース(ぶれいんましんいんたふぇーす、ぶれいんこんぴゅーたいんたふぇーす)

脳と情報通信機器をつなぐ技術。侵襲式だと脳にチップを埋め込む形やニューロンに直接アクセスする形などがある。非侵襲式だと脳波や脳血流などを計測する形となる。それぞれBMI、BCIと略すが、ほぼ同義として使われることが多い。

手も口も動かさず頭で考えただけで機械が動くため、新しいインターフェースとして注目されている。

ニューロフィードバック(NFB, にゅーろふぃーどばっく)

脳波や脳血流から脳活動を計測・分析することで自身の脳の状態を見える化し、それを画像や音などで教えてあげること。フィードバック方法は画像・音・触覚・電流など様々で、これによって意識的、あるいは無意識的に脳の状態を変えることができる。

脳をトレーニングできるとあって、教育やスポーツの場で注目されている。医療の場でも薬物療法と異なり副作用が無いためニューロフィードバックを使ったADHDや不安症などの改善のための研究が進められている。

デルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波、ガンマ波(でるたは、しーたは、あるふぁは、べーたは、がんまは)

脳波の種類。脳波を周波数で分析し、1~3Hzはデルタ波、4~7Hzはシータ波、8~13Hzはアルファ波、14~30Hzはベータ波、30Hz~はガンマ波と呼ばれている。

目を閉じると後頭部でアルファ波が強まり、深い睡眠時にはデルタ波が強まるなど、脳の覚醒度を測る手段として重要視されているが、それだけでなく各脳波と脳機能の相関を調べる研究も進んでいる。

SQUID(すくぃっど)

Superconducting Quantum Interference Deviceの略で、日本語では「超伝導量子干渉素子」と訳されている。脳の神経電流から発生する磁場を検出できる非常に感度の高い磁気センサー。

脳波の1億倍とも言われる地磁気などの影響を排除するために磁気シールド装置が必要で機器は巨大だが、CTやMRI同様に脳のスキャナーとして使われる。

CT(しーてぃー)

Computed Tomograpyの略で、日本語では「コンピュータ断層撮影」と訳されている。X線照射とコンピュータ計算処理で人体の輪切り画像を得ることができる。

比較的短い時間で検査を行うことができ、磁気を使うMRIと異なり骨の情報まで得ることができる。機器は巨大で大きな病院に置いてあることが多い。

NIRS(にるす)

near-infrared spectroscopyの略。正確にはNIRS脳計測装置といい、近赤外線を利用して血流と酸素代謝の変化を測ることで、大脳のどの部位が活性化しているかを測る。

頭皮付近の血流と区別が難しいなどの課題があるものの、簡易NIRS装置も登場し脳波の次に手軽に脳活動を計測できるとして注目されている。

fMRI(えふえむあーるあい)

fMRIはMRIに「機能的」という意味のfunctionalをつけたもの。MRIは脳の構造を測ることが可能であるが、fMRIではさらに脳や脊髄の活動に関連した血流の動きを画像化することができ、脳のどの部位が活発になっているか確認できる。

機器は巨大で非常に高額だが、脳活動の計測手法として非常に優れている。

MRI(えむあーるあい)

Magnetic Resonance Imagingの略で、日本語では「核磁気共鳴画像」と訳されている。MRI検査では、強力な磁石と電波を利用して、体の様々な断面画像を撮影する。

機器は巨大で非常に高額だが、脳の構造を調べ腫瘍を発見する際などに使われている。

EEG(いーいーじー)

electroencephalogramの略で、日本語では「脳波」と訳されている。ヒト・動物の脳が行っている電気活動を、頭皮や脳深部などに置いた電極によって記録したもののこと。脳波計(electroencephalograph)や脳波計測(electroencephalography)もEEGと略されるので注意が必要。

頭皮脳波は微弱で、筋肉が活動することによる電位(筋電)などのノイズがのってしまうが、様々な簡易脳波計が登場し最も手軽に脳活動を計測できるツールとして重宝されている。